平成11年11月24日
夕張市長 中田鉄治 様
シューパロ塾 塾長 正木英造
三菱大夕張鉄道保存会 会長 奥山道紀
旧三菱石炭鉱業鉄道(大夕張鉄道)の鉄道遺産保全に関する要望書
謹啓 貴職におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、私たちシューパロ塾と三菱大夕張鉄道保存会では、別紙署名他をもって、
旧三菱石炭鉱業鉄道(大夕張鉄道)の鉄道遺産保全について、格段のご配慮を要望するものであります。
現在、市内南部東町の旧三菱石炭鉱業鉄道南大夕張駅構内跡には大小6両の鉄道車両が残されています。
これらの鉄道車両群は、通称三菱大夕張鉄道として76年間にわたり南部、鹿島両地区の開発に貢献し、石炭や木材の輸送、さらに地域住民の生活を支えてきたものです。この中には、明治から大正期に製造されたものもあり、地域の歴史を後世に伝えるとともに、地域で暮らしてきた人々の心のよりどころとして高いモニュメント価値を持つものです。
昭和48年の三菱大夕張炭鉱の閉山時には、これらの列車に乗って多くの人々が鹿島地区の各駅からふるさと「大夕張」をあとにしました。そしていま、シューパロダムの建設により、鹿島地区から全てのものが消え去うとしている中で、これらの鉄道車両は第二のふるさととも言えます。また、数多くの映画の撮影にも使われ、多くの住民がエキストラとして鉄道車両とともに登場する場面は、いまなお人々の心の中に息づいています。
新たなる生活の地を求め、ふるさとを離れざるを得なかった人々にとって、鉄道遺産はふるさとを思い起こす貴重なモニュメントとして、保全活動に対して物心両面の支援が数多く寄せらています。
更にこれらの車両は製造時期が古いことや炭鉱鉄道の典型的車両形式をよく保存していることなどによって、学術研究者の間から重要文化財クラスの高い評価を得ています。
このように多くの人々の「おもい」を集め、また、地域の歴史を伝えるモニュメント性、文化財的価値の高いこれらの鉄道遺産は今後のまちづくりのキーポイントと
しても大きな存在であり、その保全の重要性を私たちは強く認識しております。
しかしながら、昭和62年の廃止から12年経ち、この間適切な管理がされていないため、損傷が激しく荒廃した状態になっております。
私たちシューパロ塾と三菱大夕張鉄道保存会は、ボランティアとして周辺の清掃や車両の保全など、これらの鉄道遺産を後世に伝える活動に取り組んできました。
来春には旧鹿島小学校の廃材を利用して車両の補修を行います。今後も引き続き、私たちでできることは自主的に行い、保全に臨みます。しかし、車両の所有や土地の問題など、私たちボランティアでは解決できない諸問題があります。また、ボランティアによる活動にも限界があり、夕張市当局によるご支援をお願いせざるを得ないものと考えております。
つきましては、これらの事情をご賢察くださり、行政と地域がパートナーシップをもってこの貴重な地域遺産を後生につなぎ、新たなまちづくりをめざす、私たちの活動に向けてご善処、ご支援くださるよう、署名他をもって要望いたします。
なお、シューパロダムの建設によって鹿島から去った多くの方々や三菱大夕張鉄道OB会の皆さんからも署名をいただいていることを申し添えます。
記 署名数 3,805名 (内、インターネットによる電子署名数197名) 【活動に関する参考資料】 シューパロ塾塾報 シューパロ塾会則 シューパロ塾紹介パンフレット 三菱大夕張鉄道保存会設立趣意書 新聞報道による大夕張鉄道保存活動に関する記事 【参考文献】 三菱大夕張鉄道の車両保存について (地方鉄道史研究会) ブックレットゆうばり2 三菱鉄道76年の軌跡 (フロンティア研究所) ローカル私鉄独り歩き30 炭鉱の混合列車 (レイルマガジンNo.41) 鉄道ピクトリアルNo128 三菱大夕張鉄道 (鉄道図書刊行会) 【代表者住所】 シューパロ塾 塾長正木英造 (夕張市南部菊水町 電話5-3041) 三菱大夕張鉄道保存会 会長 奥山道紀(江別市大麻西町1 電話011-386-1485)